認知心理学における「画像優位性効果(Picture Superiority Effect)」が示す通り、人間の脳は文字情報よりも視覚情報を約6万倍のスピードで処理すると言われています。この認知的特長をビジネスにダイレクトに反映できる点こそ、企業がHTMLメールのメリットとデメリットを天秤にかけつつも導入を推進する最大の原動力です。
テキストメールの場合、読者は文頭から文末まで視線を走らせ、記載された無機質な青いリンク文字列を探さなければなりません。これに対し、洗練されたHTMLメールはファーストビューに商品の高解像度写真と明確なCTA(Call To Action)ボタンを配置し、読者の認知負荷を劇的に下げることができます。大手ECサイトやSaaS企業の配信データによると、同一の訴求内容であってもテキストメールからHTMLメールへ刷新しただけで、クリック率(CTR)が28%〜45%向上した事例は珍しくありません。
一方で見過ごせないのが、制作と運用のハードルです。第一に「制作コストと技術的制約」。ウェブサイトのコーディングであれば最新のCSSグリッドやFlexboxが利用できますが、メールソフトのレンダリングエンジンは極めて旧式です。後述するように、20年以上前の技術であるテーブルレイアウトを使わなければ多くの環境で崩れてしまいます。第二に、通信環境への負荷です。画像データを過剰に盛り込むと読み込み遅延を引き起こし、読者が離脱する原因となります。