茹で上がったセコガニは、さばき方ひとつで味わいやすさと見た目の美しさが劇的に変わります。金沢の割烹や料理旅館で供される「面詰め(香箱盛り)」の技法を取り入れることで、家庭でも高級料亭のような一皿を再現できます。
【解体の手順】
- 外子を外す:お腹の三角形のフタ(ふんどし)を指で持ち上げ、包丁で根元から切り離します。外子についている薄皮を丁寧に除き、一口大に切り分けます。
- 甲羅を外す:胴体の両脇を押さえながら、甲羅とお腹の隙間に指を入れてゆっくりと甲羅を剥がします。この際、甲羅の中に溜まったカニ味噌と内子をこぼさないよう水平を保ちます。
- エラ(ガニ)を取り除く:胴体の左右についている灰色の羽状の器官(エラ・ガニ)は雑菌が多く苦味があるため、手で完全にちぎり取って破棄します。
- 胴体を半分に割る:胴体の中央にある内子とカニ味噌をスプーンで丁寧にかき出し、甲羅の内側にまとめます。残った胴体を包丁で縦半分に割り、関節の膜を包丁の先で断ち切って身をほぐし出します。
- 脚の身を取り出す:細い脚はすりこ木を転がして身を押し出すか、キッチンバサミで殻の片面を削ぎ落として棒肉を取り出します。
- 甲羅への盛り付け(面詰め):きれいに洗った甲羅の底にカニ味噌とほぐし身を敷き詰め、その上に鮮やかな朱色の内子とプチプチの外子を美しく配置します。最前面に整えた脚の棒肉を放射状に並べれば完成です。
食べる際は、三杯酢やレモンを添えるのも美味ですが、まずは何もつけずにカニ味噌・内子・身を一緒に口へ運んでみてください。濃厚なコクと磯の香りが渾然一体となった極上の味わいが広がります。食べ終わった甲羅に辛口の日本酒を注ぎ、弱火で軽く温めて楽しむ「甲羅酒」は、愛好家にとって至高の締めくくりです。