自民党総裁選の仕組みは、一見すると民主的な投票制度に見えながら、極めて精巧に「既存権力のコントロール」が機能するように設計されています。この基本ルールを正しく理解しなければ、選挙戦の真実を見誤ることになります。
出馬のための第一関門となるのが、自民党総裁選の推薦人20人を集める作業です。所属国会議員20名の署名・押印を取り付けることは、無派閥化が進んだとされる現在でも極めて高いハードルです。陣営の幹事長クラスが控室のドアを叩き、深夜まで電話をかけ続ける姿は永田町の風物詩ですが、この推薦人集めの段階で「誰がどの勢力と手を結んだのか」という最初の力学が浮き彫りになります。
総裁選の投票システムは、第1回投票と決選投票で大きくルールが異なります。
第1回投票では、「国会議員票」と同数の「党員・党友票」が争われます。党員票は全国の得票数に応じてドント方式で各候補に比例配分されるため、全国的な知名度を持つ候補が優位に立ちます。自民党総裁選の党員票の予想においては、地方組織に強力な基盤を持つ保守派や、広報宣伝力で勝るスター候補が大量得票を果たす傾向にあります。
しかし、過半数を獲得する候補が出ない場合(近年の多党・乱立傾向ではほぼ確実)、上位2名による決選投票の行方へと突入します。ここに、総裁選最大のカラクリが存在します。決選投票では、国会議員票が1人1票の重みを維持するのに対し、地方票は「47都道府県連に各1票(計47票)」へと劇的に縮小されます。つまり、一気に国会議員の力関係が支配するゲームへと変貌するわけです。