「部屋の中で小さな赤ちゃんゲジゲジを何匹も見かけた。もしかして畳の裏や天井裏で卵が孵化したのではないか?」と不安に駆られるケースは少なくありません。
しかし、衛生害虫防除の専門データによると、ゲジゲジが屋内の乾燥した居室で産卵する可能性はほぼゼロです。ゲジゲジのメスは春から初夏(5月〜7月頃)にかけて産卵を行いますが、その産卵場所は「屋外の湿り気のある土壌」「腐葉土や落ち葉の堆積層」「庭の敷石やプランターの底」など、高い湿度と有機物が保たれた自然環境に限られます。メスは1粒ずつ泥を付着させてカモフラージュしながら産卵するため、室内環境は産卵適地として機能しません。
ではなぜ、室内でゲジゲジの幼虫が複数見つかるのでしょうか。そこには明確な大量発生と侵入の2大原因が存在します。
第一の原因は、「屋外の発生源からの集団侵入」です。庭の植木鉢の下や基礎周りで孵化した幼虫たちが、梅雨時期の長雨や夏の乾燥を嫌い、わずかな隙間から一斉に屋内へと移動してくるケースです。特にゲジゲジの幼虫は数ミリの隙間があれば容易に潜り込めるため、サッシ下などから複数匹が同時期に入り込みます。
第二の原因は、「屋内に豊富な餌(ゴキブリやダニ)が存在すること」です。成虫・幼虫を問わず、ゲジゲジが室内に長期間定着している場合、それは家の中にチャバネゴキブリの幼虫やチャタテムシ、ダニなどの餌が大量に繁殖しているサインにほかなりません。ゲジゲジの出現は、住まいの衛生環境を見直すための警鐘とも言えます。