ネット上や自己啓発の文脈では、「常にポーカーフェイスで感情を一切出さないことこそが一流の大人である」といった言説が散見されます。しかし、これは心理学および組織マネジメントの観点からは明確な誤解です。
感情を完全に抑え込む「情動の抑制」は、コルチゾールなどのストレスホルモンを増加させ、自律神経の乱れやメンタルヘルスの悪化を招くことが近年の研究で判明しています。重要なのは感情を「消す」ことではなく、「自分が今どの感情を抱いているかを客観的にモニタリングし、出し方を調整する」というプロセスです。
感情を押し殺し続けた結果、ある日突然限界を迎えて爆発したり、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ったりするトラブルが後を絶ちません。感情は人間の生存に必要なアラート機能であり、無理に排除すべき敵ではないのです。