計算桁数の歴史を語る上で欠かせないのが、世界的なエンジニアたちの存在です。とりわけ世界に衝撃を与えたのが、米Googleのデベロッパーアドボケイトである岩尾エマはるか氏を中心とするチームの成果でした。
岩尾氏らのチームは2019年、Google Cloudのインフラを活用して31兆4159億2653万5897桁(円周率の「3.1415926535897」にちなんだ桁数)の計算に成功し、ギネス世界記録に認定されました。さらに2022年には、自らの記録を大幅に塗り替える100兆桁の計算を達成。所要時間約157日間、処理したデータ量は約82ペタバイト(8万2000テラバイト)という前代未聞のスケールでした。
その後も記録更新競争は加速し、2024年には米ストレージ企業Solidigm(ソリダイム)のチームが105兆桁、さらには202兆桁を突破したことを発表するなど、記録は天文学的な桁数へと更新され続けています。こうしたプロジェクトで使用される計算アルゴリズム「チュドノフスキーの公式」と「y-cruncher」という検証ソフトウェアの組み合わせは、現代の大規模計算におけるデファクトスタンダードとなっています。