「目には目を歯には歯を」本当の意味は?復讐ではなく命を守る法の真相

「目には目を歯には歯を」本当の意味は?復讐ではなく命を守る法の真相

「目には目を歯には歯を」本当の意味は?復讐ではなく命を守る法の真相の疑問点について、分かりやすい解説を詳しくお届けします。

ハンムラビ法典と並び、この概念を世界に広く定着させたのがヘブライ聖書、すなわち旧約聖書出エジプト記(第21章23〜25節)の記述です。法制史の研究資料によれば、聖書における「目には目を」にはさらに詳細な続きが存在します。

「命には命を、目には目を、歯には歯を、手には手を、足には足を、やけどにはやけどを、傷には傷を、打ち傷には打ち傷をもって報いなければならない」

出エジプト記に続く『レビ記』や『申命記』にも同様の文言が登場しますが、ユダヤ法の伝承(タルムード)の解釈では、身体的損壊をそのままやり返すことではなく、損害に応じた公正な金銭的賠償(慰謝料・補償金)を支払わせる基準として運用されていました。身体を切り刻む野蛮な復讐ではなく、経済的な実質補償によって平和裏に紛争を解決する司法制度だったのです。

さらに時代が進むと、新約聖書『マタイによる福音書』において、イエス・キリストがこの法制を引用しながら新たな倫理観を提示します。「『目には目を、歯には歯を』と言われていたのを、あなたがたは聞いている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打たれたら左の頬をも向けなさい」。これは同害報復の正義論から一歩進み、怨恨の連鎖を自己の寛容によって完全に断ち切るという愛の倫理へのパラダイムシフトを示しています。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。