ホムンクルスたちの最大の魅力は、その散り際の美学にあります。彼らは自らの名が冠する「大罪」に縛られ、最期はその罪とは正反対の結末や、罪の本質を突きつけられる皮肉な死を迎えます。
ラスト(色欲):燃え盛る焔に散った冷徹な美女
第3研究所の地下でロイ・マスタング大佐と交戦。賢者の石の核を何度も破壊され、再生が追いつかなくなるまで至近距離から連続で焼き尽くされました。最期は「こんな素晴らしい男にやられるなら、悪くないわ…」と言い残して灰燼に帰し、色欲でありながら誰よりも誇り高く散る結末となりました。
グラトニー(暴食):共食いによって奪われた命
何でも喰らい尽くす能力を持ちながら、暴走した戦闘の中で味方であるはずのプライドによって「お前の命を私の補充に使う」と貪り喰われるという凄惨な最期を遂げました。暴食を司る者が他者に喰われて消滅するという、最も残酷な皮肉です。
エンヴィー(嫉妬):暴かれた矮小な本心と自死
マスタング大佐の猛烈な怒りの焔によって巨大な本体を焼き尽くされ、小さなトカゲのような本体へと追い詰められます。エドワードから「お前は人間に嫉妬していたんだ」とその本質を看破された瞬間、プライドを完全にへし折られ、自ら賢者の石の核を引き抜いて涙を流しながら自決を選びました。
スロウス(怠惰):生きることすら面倒くさがった巨漢
中央司令部での戦いにおいて、オリヴィエとアレックスのアームストロング姉弟、そしてシグ・カーティスらの猛攻を受け続けました。死の瞬間、「死ぬのも…めんどくせぇ…」と呟きながら消滅。怠惰を極めた怪物は、最後の息を引き取ることすら煩わしがりながら静かに息絶えました。
ラース(憤怒):人間として戦い抜いた満足の笑み
城門前での激闘、そしてイシュヴァール殲滅戦の生き残りであるスカーとの一騎打ち。生みの親であるお父様への忠誠ではなく、自らの意志で選んだ戦いに敗れたブラッドレイは、復讐を捨てたスカーの前で「人間が用意してくれた、やりがいのある良い人生だった」と穏やかな表情で事切れました。憤怒を司りながら、その最期は誰よりも平穏でした。
プライド(傲慢):人間に縋り、赤子へと退行した最初の影
肉体の崩壊が進む中、エドワードの肉体を乗っ取ろうと画策しますが、精神世界へ直接突入したエドによって本体を引きずり出されます。「下等な人間」と見下していた存在に敗北し、傲慢さを剥ぎ取られた本体は、手のひらサイズの無力な赤ん坊(セリム)の姿へと戻り、情けをかけられて生き延びることとなりました。
グリード(強欲):欲しかったものは「仲間」だった
お父様との最終決戦において、共闘していたリン・ヤオの肉体を守るため、自ら魂をお父様の体内へと逆流させました。最期にお父様の肉体を脆い炭素へと変質させる致命傷を与えながら、「もう十分だ、なんも要らねぇや…」と呟き、自分が本当に欲していたのは金や女ではなく「魂を分かち合える仲間」だったと気づき、満ち足りた笑顔で消滅しました。