話は1965年に遡る。深夜の実験枠でスタートした『金曜夜席』こそが、すべての始まりだった。当時、若手落語家として圧倒的な異彩を放っていた立川談志は、既存の演芸番組の枠組みに強烈な不満を抱いていた。落語や演芸を単なる「懐古趣味の娯楽」としてテレビに流すのではなく、現代的なスピード感とエッジの効いた知性を取り入れたい。その執念が、深夜枠から日曜夕方の全国放送への昇格を引き寄せた。
改題にあたって選ばれた『笑点』というタイトル。三島由紀夫のベストセラー小説『氷点』をもじった駄洒落だったことは有名な話だが、そこには談志特有の皮肉と美的センスが凝縮されていた。お笑いの「点」を取るというゲーム性を提示しながら、大衆をニヤリとさせるインテリジェンスを忍ばせたのだ。