現在の姿に至る背景には、文化庁や独立行政法人国立美術館が一体となって推進した「金沢移転再整備プロジェクト」の大きな結実がある。旧陸軍の第九師団司令部庁舎と金沢陸軍兵器支廠という2つの明治建築を復元・統合した外観は、金沢の歴史的景観に見事に溶け込んでいる。
また、周辺の建築文化との対話も見逃せない。近隣にある谷口吉生設計の金沢市立玉川図書館や鈴木大拙館など、モダン建築の名作群とこの歴史的建築が織りなす空間の対比は、金沢という街が持つ文化的奥行きを象徴している。建物の外観や赤レンガの質感を眺めながらのアプローチ自体が、文化探訪の素晴らしいプロローグとなる。