今回の現地取材では、地元の古老たちから興味深い伝承をいくつも聞き出すことができた。古くからこの地域には、「波多の山中に夜な夜な現れる謎の明かり」や「日照りが続いた際に本殿奥の湧き水を使って雨乞いを行うと、必ず恵みの雨が降った」という奇瑞の物語が語り継がれている。
また、戦国時代には武将たちが戦勝祈願に訪れ、刀剣や甲冑を奉納したという記録も残る。明治の神仏分離やその後の変遷を経てもなお、地域住民が交代で日々の掃除や境内の整備を行い、水面下で熱心な信仰を守り続けてきた。この土地の人々の誇りと愛情こそが、神社の持つ清々しい佇まいを現代まで維持してきた最大の理由と言える。