原作者の突然の逝去に際し、出版界が最も直面したのが「未発表原稿の有無」と「作品の結末」でした。当時連載されていた『月刊まんがタウン』には、臼井氏が生前に描き溜めていたストック原稿が数話分残されていました。
双葉社編集部は遺族と協議を重ね、臼井氏が生前に遺した貴重な原稿を最後まで掲載することを決断します。そして、2010年3月号(2010年2月発売)に掲載された第1126話が、臼井儀人氏自身の手による事実上の「絶筆(遺作)」となりました。
このエピソードは、特別な最終回として描かれたものではありませんでした。しんのすけがいつも通りみさえを振り回し、野原家に他愛のない笑いが溢れる、普段通りの日常の一コマで原稿は締めくくられていました。「物語を完結させないまま終わった」と捉える読者もいましたが、ファンの間では「野原家の日常はこれからもずっと続いていくというメッセージになった」と、奇しくも温かい余韻を残す幕引きとなったのです。