1980年代後半、ロック界の男勝りな歌姫として「総立ちの久美子」の異名をとっていた山下久美子。その背中を追いかけるようにしてモデルから歌手へと転身を遂げたのが今井美樹だった。ふたりは単なる共演者にとどまらず、プライベートでも頻繁に交流する親密な間柄だったという。山下の自宅を今井が訪れ、手料理を囲みながら悩みごとを相談し合う姿は、当時の音楽業界でも微笑ましい姉妹のような関係として知られていた。
だが、その穏やかな交友関係の背後には、静かに忍び寄る破局の予兆があった。山下の夫であり、新進気鋭のギタリストとしてスポットライトを浴びていた存在との出会いが、すべてを塗り替えていくことになる。