本作を語る上で絶対に外せない有名なエピソードがある。囚人たちの無茶な賭けに乗って、ルークが1時間で50個のゆで卵を平らげるという狂気のシーンだ。CGなど存在しない時代、監督を務めたスチュアート・ローゼンバーグは一切の妥協を許さなかった。ニューマンは実際の撮影で途方とない量のゆで卵を口に運び、腹が破裂しそうな極限状態の表情をリアルに作り出したという。
撮影現場の熱気は本物だった。酷暑のカンカン照りの下、実際の道路舗装作業を俳優たちに行わせるなど、徹底したリアリティが追求された。スタントマンを極力使わず、苛酷な現場環境に身を置くことで、俳優たちの皮膚感覚にまで泥と汗の匂いを染み込ませたのだ。この泥臭い執念こそが、半世紀を経ても色あせないフィルムの強度を生み出している。