ソーシャルメディアや掲示板(5ちゃんねる、知恵袋)では、新シーズンや劇場版が公開されるたびに「メイドインアビス グロすぎる」「精神的に吐き気がした」「作者の性癖が度し難い」といった悲鳴に近い投稿がトレンドを席巻します。
一般的なアニメ作品であれば、過度なゴア表現や児童への加害描写は炎上や視聴者離れに直結しかねません。しかし本作は、国内外の主要レビューサイト(MyAnimeList、Filmarksなど)において一貫して8点台後半から9点台(10点満点中)という驚異的な超高評価を維持し続けています。なぜ凄惨なグロ描写を抱えながら、世界的な傑作として受容されているのでしょうか。
第一の理由は、「残酷さが安っぽいお化け屋敷的なドッキリ(ジャンプスケア)ではない」点です。過酷な被害を受けるキャラクターたちは、決して無駄死にや使い捨てのギミックとして扱われません。激痛の果てに自らの意志で選択を下し、魂の尊厳を証明しようとします。ミーティを救おうとしたナナチの献身、プルシュカが遺した祈り、イルミューイの母性の結晶であるファプタの咆哮など、すべての損壊の先には圧倒的なカタルシスと崇高なドラマが配置されています。
第二に、原作者・つくしあきひと氏が構築した生態系の徹底的な緻密さです。アビスに棲まう原生生物は、人間をいたぶるために襲ってくるのではなく、純粋な捕食行動・縄張り防衛として行動しています。自然界の冷酷な摂理をそのまま画面に定着させているからこそ、鑑賞者は不条理を受け入れざるを得ないのです。