多くの人が陥る最大の罠は、種目名にある「跳び」という言葉に引きずられ、文字通り左右にピョンピョンとジャンプしてしまう点にあります。上に跳び上がった瞬間、人体は重力に従って落下するまでの間、空中で制動不能の無駄な滞空時間を過ごすことになります。20秒という極めて短い制限時間のなかで、この空中浮遊時間は純粋なタイムロス以外の何物でもありません。
運動生理学のバイオメカニクス分析によると、好記録を出す選手と平均以下の選手の間には、頭部および骨盤の上下動の振れ幅に約8〜12cmもの差が確認されています。記録が伸びない選手は切り返しのたびに膝が伸び、体が浮き上がってから着地するため、足裏が接地して床を蹴るまでのレスポンスが致命的に遅れてしまいます。
もう一つの見落とされがちな原因が、「減速のタイミングの遅れ」です。外側のラインに向かって全力で突っ込み、ライン際で慌ててブレーキをかけようとするため、外側の足に全体重が乗りすぎて切り返しに多大な筋力と時間を要します。敏捷性を発揮する要訣は、加速すること以上に「いかに滑らかに減速し、逆方向への推進力へ変換するか」という反動運動(ストレッチ・ショートニング・サイクル)にあります。