物語の起点は、どしゃ降りの雨が降る駅。高校生活のスタートを控えた熊沢直達を迎えに来たのは、見知らぬ大人の女性・榊千紗だった。案内された先は、叔父の漫画家・歌川茂道(通称ニゲミチ)が暮らす一軒家。だがそこは、気ままな大人たちが集うシェアハウスだった。
シェアハウスの住人たちはみな一癖あるが、どこか温かい。脱サラして漫画家になったニゲミチ、女装の占い師、海外を放浪する大学教授。その中で、26歳の千紗だけが感情の奥底に冷たい澱のようなものを抱えていた。実は、かつて直達の父親と千紗の母親がダブル不倫の末に駆け落ちし、彼女の家庭を崩壊させた過去があったのだ。加害者の息子と被害者の娘。残酷な運命が交錯する奇妙な共同生活が、ポトラッチ料理の湯気の中で静かに動き出す。