佐賀県立佐賀北高等学校が成し遂げた快挙は、2000年代の高校野球界における最大の衝撃だった。第89回全国高等学校野球選手権大会の開幕当初、彼らが決勝まで駒を進めると予想した専門家は皆無に等しかったと言っていい。しかし、試合を重ねるごとにチームは驚異的な粘り強さを発揮していく。
開幕戦での劇的なサヨナラ勝ちに始まり、延長引き分け再試合となった宇治山田商との激闘、そして帝京との息詰まる延長戦。夕暮れのグラウンドで繰り広げられる熱戦は『熱闘甲子園』でも連夜クローズアップされ、日本中のファンがこの公立校の戦いぶりに引き込まれていった。個々のタレント性ではなく、組織力と徹底した反復練習に裏打ちされた守備力こそが、全国の猛者を呑み込む原動力となっていた。