このホテルの空間美を語る上で欠かせないのが、世界的なインテリアデザイナー小坂竜氏の手腕だ。陰影を巧みに操るライティング、博多織の意匠を現代的に昇華させたディテール、深みのある木素材とアイアンのコントラスト。開業当初から宿るその先鋭的なデザイン哲学は、年月を経ても色褪せるどころか、独自の陰影を深めている。
だが、時代は止まらない。ハードウェアとしての美しさを保ちながら、滞在者のインサイトに寄り添う微細な設計変更が重ねられてきた。ただ泊まる場所から、感性を刺激するサードプレイスへ。インテリアの端々に散りばめられた意図を読み解くこと自体が、旅の知的な悦びへと直結している。