韓国語で「わからない」を調べると、真っ先に出てくるのが「モルラヨ(몰라요)」と「モルゲッソヨ(모르겠어요)」の二大表現だ。一見すると単なる丁寧語のバリエーションに見えるが、ネイティブの感覚ではその心理的背景に決定的な断絶が存在する。
「モルラヨ」は、客観的な知識や情報そのものが自分の中に「存在しない」状態をストレートに告げる言葉だ。相手に対して「私は知りません」と事実を突き放すような響きを持ちやすく、使い方を誤ると「関心がない」「冷たい」というニュアンスを与えてしまいかねない。
一方の「モルゲッソヨ」には、推量や意志を内包する語尾「ゲッ(겠)」が含まれている。つまり「自分なりに理解しようと試みたけれど、判断がつきかねる」「よく把握できない」という配慮とニュアンスが宿る。ビジネスシーンや目上の人に対して自分の無知を伝える際、摩擦を生まずに誠意を示すなら「モルゲッソヨ(またはより敬意の高いモルゲッスムニダ)」が圧倒的に好まれる。
さらに日常会話では、前置きとして「チャル(잘=よく)」を補った「チャル モルゲッソヨ(よくわかりません)」が極めて重宝される。この一言を添えるだけで、相手の言葉を真摯に受け止めた上での返答という柔らかなクッションが生まれる。