谷口彰悟がシント=トロイデンVV(STVV)へもたらした影響は、ピッチ内の守備組織の安定だけにとどまらない。日本企業が経営権を握る同クラブにおいて、彼の存在は極めて洗練されたスポーツビジネスの結実でもある。
若いタレントを欧州主要リーグへ売却して移籍金を獲得するモデルを主軸としてきたSTVVが、あえてベテランの谷口を迎えた理由は明快だ。若手の見本となるプロフェッショナリズムの注入、守備崩壊を防ぐ危機察知能力、そして日本市場における圧倒的な広告価値である。クラブのブランディング戦略と現場の補強ポイントがこれほど高次元で合致した例は珍しく、谷口に支払われるサラリーは費用ではなく「将来の資産を守るための確実な投資」として機能している。