和食の歴史を振り返れば、昆布は単なる食材を超えた概念として君臨してきた。素材の風味を最大限に引き出すだし(和食文化)の根幹を担い、鰹節との相乗効果によって世界に誇る「UMAMI」の基盤を築き上げた主役である。世界で評価される日本料理(無形文化遺産)の繊細な味覚設計は、まさに昆布だしの抽出技術とともに磨かれてきたといっても過言ではない。
それに対して、わかめは「具材」として日々の暮らしに深く寄り添ってきた。縄文の遺跡からも出土するほど古くから日本人の胃袋を満たし、味噌汁や酢の物、若竹煮のように、季節の移ろいを舌で味わうための身近な滋味として愛されてきた。農林水産省の食文化アーカイブでも、ハレの日の格式を支える昆布と、ケの日の日常を豊かに彩るわかめの役割分担が見事に記録されている。