私たちがスクリーンの上で目にするヤクザ像と、名古屋の街に潜む実像との間には決定的な隔たりが存在する。北野武監督が映画『アウトレイジ』で描いたような、身内すらも容赦なく切り捨てる凄惨な裏切り劇や理不尽な暴力の世界は、観客を魅了してやまない。また、大ヒットゲームシリーズ『龍が如く』のように、情に厚い男たちが街を守るために拳を振るうノスタルジックな物語も根強い人気を誇る。
しかし、現実の裏社会にそうしたロマンや派手なアクションが挟まる余地はほとんどない。現代の暴力団は、徹底して法的な隙を突くビジネス集団であり、感情を排したリスク管理によって運営されている。フィクションとしての任侠映画や犯罪ドラマが描く世界観は、現実の冷酷なシステムを覆い隠す煙幕に過ぎないのかもしれない。