年末になると売り場に並ぶ根菜を前に、「そもそも煮しめと筑前煮は何が違うのか」と立ち止まることはないだろうか。日本料理(和食)の体系において、これらは似て非なる明確な個性を持っている。
「煮しめ」は、具材それぞれの持ち味を損なわないよう、だし汁の中で汁気がなくなるまでじっくりと煮詰めていく技法だ。一方の「筑前煮」は、鶏肉や根菜を油で手早く炒めてから煮含める九州・福岡発祥の郷土料理である。農林水産省の郷土料理データベースにも記録されている「がめ煮」は筑前煮のルーツであり、博多弁の「がめくり込む(寄せ集める)」やスッポン(川亀)を使った歴史に由来する。
炒めることでコクと照りを引き出すのか、だしで清らかに煮含めるのか。仕上がりの方向性を決めることが、失敗しない第一歩となる。