第1102話において何よりもファンの胸を打つのは、暴君と呼ばれた元王下七武海、バーソロミュー・くまの記憶の旅路の完結だ。これまで断片的に語られてきた彼の過去——バッカニア族としての過酷な血統、奴隷としての絶望、そして最愛の娘ジュエリー・ボニーを救うために自らの人間性を手放していく選択の全貌が、鮮烈な筆致で描き切られた。
自らの意識を完全に失う直前、くまが愛娘ボニーへ遺したメッセージは、言葉を失うほどに純粋で痛切だ。肉体を改造され、自我を消去される恐怖の中で、彼を支え続けたのは世界政府への服従ではなく、ただひとりの少女への無償の愛だった。世界を敵に回してでも娘の未来を守り抜こうとした父の背中は、長年追ってきた読者の涙腺を決壊させるに十分な破壊力を持っている。