おりものの色は、膣内の細菌叢(膣マイクロバイオーム)のバランスと免疫反応を忠実に反映しています。正常な膣内はデーデルライン桿菌と呼ばれる乳酸菌群によって弱酸性に保たれ、病原菌の侵入や増殖を防いでいます。しかし、特定の病原微生物が侵入したり常在菌のバランスが崩れたりすると、免疫細胞である白血球が病原体と戦い、その死骸や炎症産生物が混ざり合うことで分泌物が緑色や黄緑色へと変化します。
緑色のおりものの原因として臨床現場で最も頻繁に特定されるのが「膣トリコモナス症」です。これは目に見えない原虫(トリコモナス原虫)が膣内に寄生することで発症し、特徴的な黄緑色かつ泡立つような分泌物を引き起こします。また、一般細菌が過剰増殖する「細菌性膣症」や、性感染症の代表格である「淋菌感染症」、さらには子宮頸管炎を伴う「クラミジア感染症」においても、炎症の進行過程で分泌物の色調が黄色から黄緑色へとシフトするケースが確認されています。