白身魚の王様と称される真鯛ですが、皮目や身の表面には「トリメチルアミン」をはじめとする魚特有の揮発性塩基窒素が時間経過とともに発生します。この生臭さを完全に遮断し、上品な旨味だけを残すプロセスこそが、料理人の間で受け継がれる鯛のカルパッチョ 臭み取りの秘密です。
手順は驚くほどシンプルですが、タイマーで時間を正確に測ることが成功の鍵を握ります。
まず、真鯛のサク全体に重量比0.8〜1.0%の天然塩を満遍なく振り、バットの上にキッチンペーパーを敷いて静置します。冷蔵庫で待つことジャスト10分。浸透圧の作用によって、身の内部から余分なドリップ(水分)がじわりと表面に浮き上がってきます。この水分こそが臭みの元凶であり、同時に身を引き締めるためのサインです。
10分が経過したら、冷水で手早く洗い流すか、純米酒(または白ワイン)を染み込ませたペーパーで表面を優しく拭き取ります。その後、乾いた清潔な厚手ペーパーで一切の水分を残さないよう包み込み、軽く手のひらで圧をかけて脱水します。このわずか15分足らずの工程を経ることで、身の水分活性が適度に抑えられ、弾力のある歯ごたえと凝縮されたアミノ酸の旨味が劇的に引き立ちます。