かつて日本のメキシコ料理界において、タコスといえば「ひき肉とレタス、チーズをパリパリのハードシェルに挟んだテクス・メクス料理」というイメージが支配的でした。その先入観を鮮やかに粉砕したのが、メキシコ・モンテレイ出身のマルコ・ガルシア シェフです。軽井沢での創業を経て、2018年に三軒茶屋へ進出して以来、同店が放つオーラは年を追うごとに鋭さを増しています。
席数がカウンターを中心とするわずか十数席に限られている点に加え、世界的なレストランアワードや海外メディアで取り上げられたことで、インバウンドのフーディー(食通)が激増しました。需要と供給のバランスが完全に崩壊していることこそが、ロスタコスアスーレス 予約取れない理由の物理的な根幹にあります。しかし、単なる「席数の少なさ」だけでここまでの熱狂は生まれません。真の理由は、マルコ氏が注ぎ込む狂気的なまでのクラフトマンシップにあります。
最大の特徴は、店名にも冠されている青トウモロコシを使ったブルーコーン トルティーヤです。メキシコ現地の小規模農家から直接フェアトレードで仕入れる遺伝子組み換えでない在来種コーンを用い、古代から伝わるアルカリ煮沸加工法「ニシュタマリゼーション(Nixtamalization)」を店内で毎日実施。石臼で挽きたてのマサ(生地)を、ゲストの目の前で注文ごとにプレスして鉄板で焼き上げるプロセスは、もはや伝統工芸の実演に近い神聖さを帯びています。
「トウモロコシは単なる器ではなく、料理の主役である」と語るマルコ氏の哲学通り、焼きたての青いトルティーヤから立ち上る芳醇な穀物の香りと甘みは、これまでのタコスの記憶を完全に上書きします。この圧倒的な味覚体験を求め、リピーターと新規予約希望者が殺到し続けているのです。