本作が誕生した背景には、児童文学作家の古田足日(ふるた たるひ)氏と、絵本画家の田畑精一(たばた せいいち)氏による並々ならぬ熱量と現場へのこだわりがありました。
二人は制作にあたり、東京都武蔵野市に実在した保育園へ約1年間にわたって徹底的な取材を行いました。実際に子どもたちと遊び、生活を共にしながら、幼児が何に怯え、何に怒り、どうやって友達と心を通わせるのかを丹念に観察したのです。
「お仕置きとしての押し入れ」という、現代の視点では議論を呼ぶ設定も、当時の保育現場にあった現実を踏まえつつ、「子どもを管理・抑圧する大人社会」に対する批評性と、「それに屈しない子どもの生命力」を鮮烈に描き出すために練り上げられました。作者二人の妥協なき情熱があったからこそ、50年以上が経過しても一切色褪せない生命力が宿っています。