院内教育を語る上で欠かせない存在がいる。昭和大学病院内学級で長年教壇に立ち、赤いスポンジの鼻を付けて子どもたちと向き合ってきた副島賢和氏だ。氏の実践は、かつて連続ドラマ『赤鼻のセンセイ』のモデルとなり、日本中に病棟教育の尊さを知らしめた。
副島氏が常に問い続けてきたのは、「教育とは知識を詰め込むことだけではない」という真理だ。明日どうなるか分からない不安、親への申し訳なさ、友人から取り残される孤独。病気と闘う子どもたちは、大人でも抱えきれないほどの重圧を小さな胸に押し込めている。そうした子どもたちに必要なのは、テストの点数ではなく、「どんなあなたでもここにいていい」という無条件の受容だ。
教員がピエロのように笑顔を届け、感情を吐き出せる安全基地を作ること。感情が揺り動かされ、心が解き放たれて初めて、子どもの知的好奇心の芽が再び息を吹き返す。このアプローチは現代の教育ドキュメンタリーでも幾度となく取り上げられ、小児病棟における心のケアの金字塔として今も色褪せない。