アセトアミノフェン製剤全般に対し、「NSAIDsに比べて副作用がほとんどない安全な薬」という誤った先入観を抱くケースは後を絶ちません。しかし、アセリオ静注液の添付文書に並ぶ禁忌事項を確認すると、投与を厳格に拒むべき病態が存在します。
添付文書で明記されている主な禁忌対象は以下の通りです:
- 重篤な肝障害のある患者:代謝産物による肝細胞壊死が不可逆的に進行する恐れがあるため絶対禁忌。
- 重篤な腎障害のある患者:排泄遅延により重篤な副作用を招く恐れがある。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者:アナフィラキシー様症状の誘発。
- 重篤な心機能不全のある患者:循環動態の悪化を招く懸念がある。
臨床現場が最も恐れるアセリオ静注液の副作用は、劇症肝炎にもつながる肝機能障害(AST・ALTの上昇)です。アセトアミノフェンは通常、肝臓でグルクロン酸抱合や硫酸抱合を受けて無毒化されますが、過量投与や絶食・低栄養状態によってグルタチオンが枯渇していると、毒性中間代謝産物(NAPQI)が直接肝細胞を破壊します。
成人の1日最大投与量は4000mg、総投与回数の間隔は最低でも4~6時間以上空ける必要があります。見落とされやすいのが「他剤との併用による意図せぬ過量投与」です。病棟でアセリオを点滴しながら、内科から処方されていた総合感冒薬やトラムセット(トラマドール・アセトアミノフェン配合錠)をそのまま併用させてしまい、1日総量が知らぬ間に上限を突破していたという事故報告がPMDA(医薬品医療機器総合機構)にも集積されています。