聞き取りの難しさを訴える患者が医療機関を受診した際、現場の専門医は「加齢性難聴や突発性難聴などの器質的難聴」「発達障害(ADHD/ASD)」「APD/LiD」の鑑別診断を慎重に行います。これらは症状の一部が重複しているため、しばしば混同されがちです。
臨床データと専門医の知見に基づき、それぞれの差異を構造的に比較したのが下表です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会などの関連学会や専門医が提示する必須条件として、APD/LiDの確定診断には「1. 聞こえづらさの明確な自覚があること」、そして「2. 純音聴力検査および標準語音聴力検査で明らかな閾値異常が認められないこと」が前提となります。その上で、背景に雑音を混ぜた状態での「語音弁別検査(SN比検査)」や、左右の耳から異なる言葉を聞かせる「両耳分離聴検査」を実施し、1つ以上の情報処理機能に明らかな低下が確認されて初めて診断へと至ります。
また、臨床データにおいて注目すべきは「発達障害との重複率の高さ」です。受診患者の約半数から7割近くに、ADHDやASDの傾向、あるいはワーキングメモリ(作業記憶)の脆弱性が認められるケースが報告されています。集中が切れて音声を取りこぼすADHD特性と、音そのものの解析が追いつかないAPD特性が相互に重なり合うことで、問題が深刻化している実情が浮き彫りになっています。