WEBメディアの独自アンケートやSNS上の投稿(X、知恵袋、健康管理アプリのログ)を追跡すると、ハイボールに切り替えたにもかかわらずダイエットに失敗したダイエッターには、驚くほど共通した「行動パターン」と「心理的錯覚」が観察されます。
都内のIT企業に勤務する30代男性Aさんは、取材に対して次のように当時の心境を語りました。
「ビールをやめて角ハイボール缶に切り替えました。『糖質ゼロだから今日は何杯飲んでも大丈夫だ』という強烈な安心感があったんです。その結果、これまではビール2缶で切り上げていた晩酌がハイボール4缶に増え、酔いが回るにつれて『糖質を摂っていないんだから、おつまみは唐揚げやポテトチップスでもチャラになるはずだ』と無意識に自分を正当化していました。半年後の健康診断で、体重は3kg増え、γ-GTPの数値も跳ね上がっていました」
この告白に凝縮されているのが、行動経済学でいう「モラル・ライセンシング(自己正当化の罠)」と、心理学における「健康ハロー効果」です。「ハイボール=体に良い、太らない」という単一の属性に引っ張られ、全体の摂取エネルギー管理に対する認知が麻痺してしまう現象を指します。
さらに、アルコールは胃液の分泌を促進すると同時に、食欲を刺激する消化管ホルモン「グレリン」の分泌を活性化させます。同時に、満腹中枢を刺激する「レプチン」の働きを鈍らせるため、ハイボールを流し込みながら食べるおつまみのブレーキが完全に破壊されるのです。「ハイボールが太る」のではなく、「ハイボールによって引き起こされた無防備な過食行動」こそが、体重増加を招く真の犯人です。