ご祝儀を用意すると決めた場合、失礼にあたらない形式を整えることが大人のマナーです。冠婚葬祭の作法と同様、建築儀礼にも独自のルールが存在します。
まず、上棟式ご祝儀のし袋の書き方についてです。使用する祝儀袋は、一度きりであってほしい結婚祝いなどとは異なり、「何度あってもめでたいこと」を祝うため、水引は紅白の蝶結び(花結び)を選択します。包む金額が1万円以上の棟梁用には水引付きの祝儀袋を用い、3,000円〜5,000円の職方用には水引が印刷されたポチ袋や略式のし袋を使うのがスマートです。
- 表書き(上段):「御祝儀」「上棟御礼」「御礼」のいずれかを中央上に濃い黒墨(筆ペン可)で記します。
- 名入れ(下段):水引の下に施主(建主)の苗字、またはフルネームを上段よりやや小さめの字で書きます。二世帯住宅などで連名にする場合は連名で記載します。
- 中袋(内袋):表面中央に「金 壱萬圓也」のように旧字体の漢数字(大字)で金額を書き、裏面左下に施主の住所と氏名を記入します。ポチ袋の場合は裏面に金額のみを添える形でも構いません。
金種のマナーとして、上棟式ご祝儀新札の準備と包み方も疎かにできません。お祝い事であるため、事前に銀行の窓口や両替機でシワのない新札(ピン札)を用意しておくのが基本です。お札の向きは、祝儀袋の表(文字が書いてある側)に対して、肖像画が表を向き、かつ肖像画が上部に位置するように揃えて封入します。
続いて、現場で最も緊張する上棟式ご祝儀渡すタイミングとマナーです。作業中に声をかけると危険を伴うため、渡すタイミングは厳格に見計らう必要があります。ベストな機会は以下の2点に絞られます。
- 朝の顔合わせ・朝礼時(午前8時前後):当日の作業開始前、職人全員が集まって挨拶を交わすタイミング。「本日は怪我のないよう、よろしくお願いいたします」という言葉とともに施主から手渡します。
- 夕方の作業終了・解散時(午後17時前後):屋根の骨組み(棟木)が無事に上がり、その日の作業が一通り終了した締めくくりのタイミング。職人への感謝と労いの言葉を述べる挨拶の中で、一人ひとりに手渡します。現代の現場では、この夕方のタイミングが最も自然で推奨されています。