兼高かおるの家系図を紐解く上で、最大の鍵泉となるのが国際色豊かな両親の存在です。彼女の家族構成は、インド人の父親、日本人の母親、そして一人娘である彼女自身の3人家族でした。
父親は、大正から昭和初期にかけて国際貿易都市として栄えた兵庫県神戸市を拠点に活動していたインド人豪商・貿易商です。絹織物や香辛料、雑貨などを扱う裕福な貿易商であったとされ、兼高家には幼少期から異国の調度品や英語が飛び交う環境が存在していました。彼女が後年見せた国際感覚や語学力の素地は、間違いなくこの父方の血脈と生活環境から受け継がれたものです。
一方、母親は兵庫県や香川県にルーツを持つ名家の出身である「兼高タカ」です。伝統的な日本女性の凛とした立ち居振る舞いと、外国文化を偏見なく受け入れる進取の気性を兼ね備えた人物でした。当時の社会通念では極めて珍しかった国際結婚に踏み切ったことからも、母親の実家が決して旧弊な因習に囚われない先進的な家風であったことがうかがえます。
なお、彼女の本名は戸籍上「兼高ローズ」(Rose Kanetaka)と登録されていました。「ローズ」はキリスト教の洗礼名であるとともに、父方のルーツと国際性を重んじて名付けられたものです。芸能界やジャーナリズムの世界では親しみやすい「かおる」を名乗っていましたが、公的な手続きや親しい国際関係者の間では、生涯にわたりローズの名が愛され続けました。