食事をとると血液中のブドウ糖が増加し、通常はすい臓から分泌されるホルモン「インスリン」の働きによって細胞内に糖が取り込まれ、血糖値は一定の範囲内に収まります。しかし、運動不足や食べ過ぎ、加齢によってインスリンの分泌量が低下したり効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じると、食後に血糖値が急上昇する「食後高血糖(血糖値スパイク)」が引き起こされます。放置すれば血管内皮が傷つき、将来的な動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の引き金となりかねません。
かつて『ためしてガッテン』が提示し、医療関係者を唸らせたブレイクスルーは、「筋肉を収縮させると、インスリン分泌が不足していても糖が消費される」という生体システムの応用でした。筋肉細胞の中には、ブドウ糖を細胞内へ運び込む「GLUT4(グルコーストランスポーター4)」という輸送体が存在します。通常はインスリンの刺激を受けて細胞表面に現れますが、筋肉に一定の負荷がかかるだけでもGLUT4が表面に移動し、血液中の糖をグングンと筋肉内に取り込むことが判明しています。
さらに番組内で大きな注目を集めたのが、筋肉の質を変える「ピントレ」という概念です。人間の筋肉には瞬発力を担う「白筋」と持久力を担う「赤筋」がありますが、スロースクワットのような適度な負荷を持続的にかけると、白筋の中にミトコンドリアが増加し、両方の良さを兼ね備えた「桃色筋肉(ピンク筋)」へと変化します。この桃色筋肉が増えることで、安静時でも基礎的な糖代謝能力が底上げされ、持続的に血糖値が上がりにくい体質へとシフトしていくのです。