全国大会決勝戦のシングルス1で実現した越前リョーマとの頂上決戦は、シリーズ屈指の名勝負として語り継がれています。
試合序盤、幸村はリョーマの得意技をことごとく封殺し、瞬く間に五感を奪ってコート上に倒れ伏させました。視力も感覚も失い、ラケットを握ることすらできなくなったリョーマに対し、幸村は勝利至上主義の冷徹な言葉を投げかけます。
「テニスを楽しくだと?坊や、テニスはそんなに甘いものじゃない!」
死の淵から這い上がり、人生のすべてを懸けてテニスと向き合ってきた幸村にとって、「テニスを楽しむ」という言葉は甘えに他なりませんでした。しかし、極限状態の中でテニスの原初的な喜びを思い出し「天衣無縫の極み」へ覚醒したリョーマの奔放なテニスの前に、幸村は中学公式戦において初めての敗北を喫することになります。この敗戦は幸村にとっても、勝利の重圧から解放され新たなテニスへと昇華する重要な転機となりました。