ネット上の掲示板やSNSでは時折、「当時のアイドルは過剰な音響補正や被せ(ガイドボーカル)に頼っていたのではないか」という憶測が囁かれることがあります。しかし、松浦亜弥に関する限り、この疑惑は完全に的外れであると音楽評論家や現場スタッフの一致した見解が出ています。
松浦亜弥の歌唱力の評判を決定づけたのは、激しいダンスを伴うライブツアーでの実演でした。彼女の声帯コントロールは極めて独特で、喉を開いたままチェストボイス(胸声)を力強く響かせつつ、高音部では瞬時にクリアなミックスボイスへと移行します。マイクの距離感(マイキング)の技術も超一流であり、シャウト気味のアタックでも音が割れず、ウィスパーボイスでも輪郭がぼやけません。
当時の音楽番組『うたばん』や『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』における生歌披露アーカイブを検証しても、CD音源と寸分違わぬピッチでありながら、ライブならではのダイナミクスとフェイクが随所に加えられており、彼女が「アスリート並みの体幹とボーカルスキル」を兼ね備えていたことは明白な事実です。