ヒット作を生み出す裏には、長野特有の画期的な思考プロセスが存在する。彼がデザインを起こす際、最初に着手するのは外見の美しさではない。その人物が「どんな表情で怒り、どんな姿勢で落ち込むか」という感情の可動域の設計だ。
「シルエットだけで誰だかわかること」。これが長野の課す第一の鉄則である。黒く塗り潰してもキャラクターの識別がつくレベルまでフォルムを研ぎ澄ます。さらに、設定資料の段階でアニメーターや3Dモデラーが動かしやすい構造をあらかじめ組み込んでおくという。この現場起点の現実的なアプローチこそが、紙上のイラストを生命力あふれる立体・動体へと昇華させる秘訣なのだ。長年語られなかったこの創作の裏側は、クリエイター志望者にとっても金言と言える。