東京・麻布飯倉にある創業200年余の老舗「野田岩」の五代目店主・金本兼次氏は、長年にわたり職人技の継承と和食の美徳を体現し続けてきた。職人の間では「串打ち三年、裂き八年、焼きは一生」と称されるほど、鰻調理は繊細な技術の結晶である。家庭でそのエッセンスを取り入れるなら、切り分け方や火の入れ方に気を配るのが鉄則だ。
家庭で楽しむアレンジとして圧倒的な人気を誇るのが、名古屋発祥の「ひつまぶし」だ。一杯目はそのまま蒲焼きの香ばしさを味わい、二杯目は薬味のネギやワサビを添えて風味の変化を愉しむ。そして三杯目は熱々のお出汁をかけてお茶漬け風にする。一杯で三度の感動を味わえるこのスタイルは、家庭でも手軽に料亭の満足感を再現できる最高のアプローチだ。