シバリングに関して、家庭内や介護現場で最も多く見られる致命的な間違いが「高熱が出る兆候を見せた時、すぐに保冷剤や氷枕で冷やしてしまう」という行為です。
発熱初期の悪寒戦慄が起きている段階では、脳の指令は「もっと体温を上げろ」というアクセルを踏み続けています。このタイミングで首筋や脇の下を冷やしてしまうと、皮膚の冷覚受容器が刺激を受け、脳は「外から冷やされたから、もっと激しく震えて熱を作らなければならない」と判断します。結果としてシバリングがさらに長期化・激化し、本人の体力を余計に消耗させてしまいます。
また、シバリング子供において特に注意が必要なのが、熱性痙攣(けいれん)との混同および鑑別です。小児科救急の現場では、「子供が白目をむいて手足を硬直させている」のか「寒気で小刻みに震えている」のかの判断が生死を分けるケースがあります。
シバリングは呼びかけに対して返答ができ、意識がはっきりしているのが特徴です。手足を優しく抑えると震えが抑制されたり、毛布で温めると落ち着いたりします。一方で、けいれんは意識が消失し、眼球が上転・偏位し、手足をリズミカルに屈伸・硬直させます。呼びかけに反応しない場合はシバリングではなく痙攣発作であるため、直ちに救急要請を行わなければなりません。
さらに、「震えが止まったから回復した」という誤解も存在します。極度の寒冷環境下で体温が32度を下回ると、エネルギーの枯渇と中枢神経機能の低下により、体を震わせる力自体が失われます。低体温症におけるシバリングの消失は回復ではなく重症化・昏睡への前兆であり、直ちに積極的な加温治療が必要なサインです。