お月見飾りを巡って最も誤解が多いのが、「イベント終了後、お供え物をどう扱うべきか」という処分の作法です。
大前提として、月見団子や収穫物は「鑑賞後に残さず食べる」ことこそが神事の完結を意味します。神仏にお供えした食物を人間がいただく行為は「神人共食(しんじんきょうしょく)」と呼ばれ、お下がりを食すことで神の霊力や収穫の恵みを体内に取り込み、無病息災を得ると信じられてきました。したがって、供えた団子を放置してカビさせたり、そのまま廃棄したりすることは最大の作法違反となります。
硬くなってしまった生団子は、油で揚げて揚げ団子にするか、醤油と砂糖で甘辛く煮直す、あるいはお吸い物の具材としてリメイクすることで無駄なく美味しく消費できます。
一方、役目を終えたススキの処分方法にも古来の知恵が生きています。伝統的には、飾った後のススキを「軒下や玄関先に吊るす」ことで、1年間の無病息災と魔除けを祈願する風習がありました。現代の都市生活においてそのまま吊るすことが難しい場合は、感謝の気持ちを込め、白い半紙や新聞紙の上に置き、ひとつまみの塩を振って清めた上で、一般の可燃ごみとして分別処理するのが最も礼を尽くした片付け方です。