腰椎麻酔の看護手順と観察項目|術中体位から術後合併症まで徹底解説

腰椎麻酔の看護手順と観察項目|術中体位から術後合併症まで徹底解説

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腰椎麻酔の導入直後は、急激な循環動態の破綻が起こりやすいクリティカルな時間帯です。病態生理を正確に理解しておくことで、異変の予兆に即座に対処できます。

腰椎麻酔における血圧低下の原因と対処

麻酔薬がくも膜下腔に入ると、運動神経や感覚神経よりも細い交感神経線維が真っ先に遮断されます。その結果、末梢の動脈および静脈が拡張し、全末梢血管抵抗の低下と静脈還流量(前負荷)の激減が生じます。これが腰椎麻酔における急激な低血圧の主たる原因です。

収縮期血圧がベースラインの20%以上低下、または90mmHg未満になった場合は低血圧と判断します。患者は脳血流低下により「あくび」「吐き気」「冷や汗」を訴えることが多いため、これらの主訴があった瞬間に血圧を測定します。看護師は即座に輸液全開投与を行い、昇圧薬(エフェドリン5〜10mg、またはフェニレフリン0.05〜0.1mg)の投与準備を進めます。下肢を軽度挙上させることも静脈還流の促進に有効です。

局所麻酔薬中毒(LAST)の見落とせない観察点

腰椎麻酔で使用する局所麻酔薬の用量は硬膜外麻酔に比べて少量ですが、血管内への誤注入や急速な血中移行が起きた場合、局所麻酔薬中毒(LAST: Local Anesthetic Systemic Toxicity)を引き起こします。中枢神経症状から心血管症状へと進行するため、初期症状の把握が命を分けます。

  • 中枢神経症状(初期):口周囲や舌のしびれ、金属味(苦味)、耳鳴り、視覚障害、多弁・不穏、振戦。
  • 中枢神経症状(重症):意識消失、大発作(強直間代性痙攣)。
  • 心血管症状:不整脈、伝導障害、重度徐脈、心停止。

初期の「口の周りがピリピリする」という訴えを術前の緊張によるものと片付けず、直ちに麻酔科医へ報告し、気道確保、100%酸素投与、痙攣予防(ミダゾラム等)、および脂肪乳剤(20%イントラリポス)の投与準備を整えます。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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