『最後の雨』が世代を問わず胸に突き刺さる最大の要因は、綺麗事だけでは片付けられない「生々しい男の情念」を描いた歌詞世界にあります。なかでもサビの導入部である「本気で忘れるくらいなら 泣けるほど愛したりしない」という一節は、失恋の痛手を経験した者なら誰もが息をのむ名フレーズです。
去りゆく女性を引き止めたい衝動と、相手の幸せを思って身を引かなければならない理性。降りしきる冷たい雨の中で繰り広げられる別れの情景は、聴き手の記憶にある過去の恋愛体験を否応なく呼び覚まします。「誰かに奪われるくらいなら、いっそ壊してしまいたい」とも受け取れるほどの激しい愛情と、それを優しさで押し殺す苦悶のコントラストこそが、この詞の持つ恐ろしいほどのリアリティです。