文献調査を迷いなく遂行するためには、行き当たりばったりの作業を排し、体系化されたステップを踏む必要があります。教育機関や専門リサーチ機関が推奨する実践的な文献調査の進め方は、以下の5つの段階に集約されます。
ステップ1:リサーチクエスチョンの明確化とキーワード選定
漠然とした興味(例:若者のSNS利用)を、検証可能な問い(例:大学生におけるInstagram利用時間と自己肯定感の相関)へ具体化します。次に、そのテーマを構成するキーワードを「類義語」「英語表記」「上位概念・下位概念」へと拡張します。
ステップ2:学術データベースを活用した先行研究の探し方
キーワードをもとに、信頼できる論文検索データベース一覧から対象文献を網羅的にヒットさせます。
- CiNii Research(サイニィ リサーチ):国立情報学研究所(NII)が提供する日本最大級の学術ポータル。国内の学術論文、学位論文、研究プロジェクト情報を横断検索可能。CiNii Researchの使い方の肝は、論題(論文タイトル)だけでなく抄録(アブストラクト)検索を活用し、AND/OR演算子で適切に絞り込む点にあります。
- Google Scholar(グーグル・スカラー):世界中の学術出版社、専門学会、プレプリントサーバーの文献を包括する検索エンジン。Google Scholar活用法として絶対にマスターしたいのが、各論文の下部に表示される「引用元(Cited by)」の追跡です。優れた論文がその後にどのような影響を与えたかを時系列で追えるため、有力な先行研究を芋づる式に掘り起こすことができます。
- J-STAGE(ジェイステージ):科学技術振興機構(JST)が運営する日本のオープンアクセスプラットフォーム。最新の査読付きジャーナルが無料で閲覧・ダウンロードできるため、自然科学から社会科学まで重宝します。
- PubMed(パブメド):医学、看護、生化学分野で世界最高峰の網羅性を誇る米国国立医学図書館のデータベース。
ステップ3:書籍・図書資料の現物確認(書誌・所蔵調査)
論文だけでなく、体系化された専門書(単行本)の確認も欠かせません。國學院大學が公開している文献調査法では、図書の調査を以下の3つのステップで進めることが推奨されています。
- STEP1:「どのような図書が出版されているか」(OPACやWebcat Plusを用いた書誌調査)
- STEP2:「希望の図書が自大学・機関の図書館にあるか」(学内所蔵調査)
- STEP3:「自機関になければ、他大学や国立国会図書館のどこで所蔵しているか」(ILL・相互利用制度の活用)
ステップ4:論文スクリーニング(精読と選別)
集めた数百本の文献をすべて精読する必要はありません。「タイトル」→「要約(アブストラクト)」→「結論(Conclusion)」→「考察(Discussion)」の順に斜め読みし、自分の研究テーマに直結する十数本を厳選して本文の精読に進みます。
ステップ5:文献管理ツールを用いた論点整理
収集した文献は即座にデジタル上で一元管理します。後から「あのデータはどの論文に載っていたか」と探す時間は、研究における最大の損失です。