心臓は右心房の上部にある「洞結節(どうけっせつ)」と呼ばれる天然のペースメーカーから規則正しく微弱な電気信号を放出し、心筋全体を収縮させて全身へ血液を送り出しています。心電図検査において、心房の興奮を示すP波、心室の収縮を示すQRS波、そして回復を示すT波が一定の規則正しい順序で出現している状態を「洞調律(サイナスリズム)」と呼びます。
日本循環器学会などの標準的な定義では、成人の安静時における心拍数は1分間に60回から100回が正常とされています。この電気的興奮の順序は正常であるにもかかわらず、心拍数が毎分60回を下回る状態全般が洞性徐脈と呼ばれます。ただし、健診センターや人間ドックの判定現場では、健常者でも50回台前半の脈拍を示すケースが珍しくないため、洞性徐脈の基準値として「おおむね1分間に50回以下」を異常判定の閾値(しきいち)に設定している施設が目立ちます。
心電図の波形そのものが乱れる心室細動や心房細動とは異なり、波形の構造自体には破綻がありません。つまり、「信号の経路は保たれているが、発信のインターバルが通常より間延びしている状態」を指しているのが心電図検査における所見です。