ネット上の掲示板やSNSでは、毎年「子どもがインフルにかかり、徹底的に看病したのに数日後に家族全員へ全滅した」という悲痛な体験談が後を絶ちません。なぜ、マスクや手洗いを徹底していても家庭内感染を防ぐことがこれほど難しいのでしょうか。
取材で見えてきた最大の盲点は、「発症前日の無防備な団らん」と「接触感染の軽視」にあります。家族の誰かが夜間に急激に発熱した場合、その前日の夕食や入浴、就寝時のリビング空間ではすでにウイルスが飛散しています。くしゃみや咳をしていなくても、大声での会話や笑い声に伴う微小粒子(エアロゾル)によって、潜伏期間中に同室の家族がウイルスを吸い込んでいるケースが非常に多いのです。
さらに、洗面所の共用タオル、ドアノブ、テレビのリモコン、スマートフォンの画面など、家族全員が触れる場所を介した接触感染も見逃せません。発症後にどれだけ部屋を隔離しても、発症前日に付着したウイルスが環境表面に残存していることで、時間差で二次感染・三次感染が連鎖してしまうのです。