「なぜブラジャーのタグは決まって左側(左脇や左アンダー)に付いているのか?」という疑問を抱いたことはないでしょうか。これには日本の繊維業界における厳格な法規制と、人間工学に基づく合理的な背景が存在します。
まず根底にあるのが、経済産業省が所管する家庭用品品質表示法および日本産業規格(JIS L 0217 / 新JIS L 0001)の規定です。衣料品には繊維の組成(素材混用率)、洗濯処理記号、表示者名(メーカー名や連絡先)を明記することが法律で義務付けられており、下着類も例外ではありません。その上で、日本アパレル・ファッション産業協議会などの標準ガイドラインにおいて「着用者から見て左側、または身頃の後方中央」に品質表示を取り付けることが長年の業界標準として定着しています。
大手下着メーカーの設計関係者への取材によると、ワコールのブラのタグ位置をはじめとする国内主要メーカーが左側を採用し続けるのには、以下のような実用上の理由が挙げられます。
- 前後・裏表の即時判別:薄手の下着や複雑なデザインのブラジャーでも、「左手側にタグが来るように持つ」というルールを統一することで、薄暗い部屋でも着用者が迷わず正しい向きで装着できるように設計されている。
- 右利きユーザーへの配慮:世界人口の約9割を占める右利きにとって、脱衣時や洗濯時に左側に配置されたタグは右手でつまんで確認しやすく、ブラジャーの品番の見方やサイズ表記を目視しやすい導線になっている。
- 国際規格との整合性:海外のISO規格や欧米のアパレル製品でも左側配置が標準化されており、輸出入やグローバルサプライチェーンにおける検品ミスの削減に寄与している。
つまり、ブラのタグがなぜ左側にあるのかという疑問の裏には、法令遵守と使いやすさを追求した確固たる設計意図が存在しているのです。