ミスファイアリングシステムとは?仕組み・車検・後付けの罠を完全解剖

ミスファイアリングシステムとは?仕組み・車検・後付けの罠を完全解剖

ミスファイアリングシステムとは?仕組み・車検・後付けの罠を完全解剖についての疑問解決ガイドを徹底解説します。

ミスファイアリングシステムがなぜターボラグを消し去ることができるのか、その熱力学的な仕組みは非常に過激です。通常のエンジンでは、アクセルを戻すとスロットルバルブが閉じ、シリンダーへの空気と燃料の供給が絞られます。排気ガスの圧力と流速が低下するため、排気エネルギーで回っているタービンホイールの回転速度は一気に急減速します。再びアクセルを踏み込んでも、吸気圧力が正圧に達するまでに「コンマ数秒から1秒前後」の過給遅れ(ターボラグ)が発生します。

この物理的限界を強引に打ち破るのが、ミスファイアリングシステムの作動原理です。ドライバーがアクセルペダルを完全に離した瞬間、制御システムが以下のプロセスをミリ秒単位で実行します。

吸気スロットルをわずかに開いたままにするか、バイパス通路(二次エア供給パイプ)から新気を排気ポートへ直接送り込みます。同時に、シリンダー内での点火時期を通常の上死点付近から極限まで遅らせる「点火遅角(リタード)」を行ったり、あえてシリンダー内で点火を行わずに未燃焼の混合気をそのまま排気マニホールドへ排出させます。

排気バルブが開いた直後、あるいは排気マニホールド内で未燃焼ガスと酸素が一気に混ざり合い、高温の排気熱によって爆発的な二次燃焼を引き起こします。シリンダーの外、すなわちエキゾーストマニホールドの内部で人工的な燃焼爆発を発生させるわけです。この爆発圧力によって生じた高圧ガスがタービンブレードを背後から強烈に叩き続け、アクセルを全閉にしている減速中であっても、タービンを10万rpm以上の超高速で回転させ続けます。

「パパパパッ」「バババン!」という耳をつんざくような激しい音の正体は、マフラーのテールエンドで起きている音ではなく、エキゾーストマニホールドからタービン直前で連続して起きている生々しい爆発音が排気管を伝って外部へ放出されている音です。ドライバーが再びアクセルを踏み込んだ瞬間には、すでにインタークーラーからインテークパイプまで規定値のブースト圧が充填されているため、排気量の大きい自然吸気エンジンを凌駕するレスポンスでロケットスタートが可能になります。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。