本作の大きな魅力の一つが、半沢・渡真利・近藤による「同期三人組」の熱い友情でした。銀行内の権謀術数が渦巻くなか、居酒屋で愚痴をこぼし合い、剣道場で竹刀を交えながら本音をぶつけ合うシーンは、重厚なドラマにおける一服の清涼剤であり、同時に物語の推進力でもありました。
特に視聴者の涙を絞った名シーンが、タミヤ電機で社内不正(迂回融資)の決定的な証拠を掴んだ近藤が、宿敵である大和田常務(香川照之)から「銀行の広報部へ戻す」という甘美な復帰条件を提示される場面です。半沢を裏切ることになる苦悩、愛する家族にこれ以上惨めな思いをさせたくないという父親としての切実な願い。激しい内面の葛藤に震えながら、絞り出すように提案を呑んだ「近藤の裏切りの真相」は、単なる裏切り劇を超えた人間の弱さと哀愁を浮き彫りにしました。
電話越しにすべてを察し、「お前は、銀行に戻ってこい!」と涙ながらに背中を押す半沢との絆。滝藤賢一の震える指先、涙と汗に濡れた顔面、息を呑むような間(ま)の使い方は、放送当時「主役を食うほどの怪演」と絶賛され、名だたるテレビ賞の助演男優賞を総なめにしました。